自民・鬼木誠議員が外国人の土地所有を制限する法制度の限界を国会で指摘「ポイントは2つ。憲法と条約」

自民・鬼木誠議員が外国人の土地所有を制限する法制度の限界を国会で指摘「ポイントは2つ。憲法と条約」

自民党の鬼木誠議員が12月1日の衆議院法務委員会で外国人による土地所有問題を取り上げ、現在の法規制を明らかにするとともに問題点を浮き彫りにしていました。
憲法と条約に縛られて制限できないことわかってきた
鬼木議員は対馬や北海道において外国人による土地所有問題が深刻化している現状を挙げ、まず外国人による日本の土地取得・所有を制限するための現行法「外国人土地法」の限界を指摘していました。

外国人土地法が大正14年に大日本帝国憲法の下で制定されたもので、現在でも効力を有しているとはいえ制限の対象となる権利、制限の対応等においては政令に包括的・白紙的に委任していることから現行憲法下においては政令が制定出来ない、「つまり外国人土地法が機能することが出来ない」と明らかにし、新たな法律が必要だと主張。

しかし新法の制定においても今度は自由貿易の推進を図る上での投資やサービス貿易における内国民待遇義務が障害になると言うのです。WTOのGATS(サービス貿易に関する一般協定)が内国民待遇義務を定めているためで、これによって日本人に対する土地の権利の待遇と外国人に対する権利の待遇に格差があってはならないというルールが存在しているからだと言います。

ところが、GATSに加盟している国の中にはインドやフィリピンのように外国人や外国人の土地所有を原則不可としている国もあることから、鬼木議員は外務省に対し「何故、これらの国々に出来ることが日本では出来ないのか」と質問。

これに対し外務省は、これらの国々が土地の取得に関し留保を行っているためその範囲内で必要な制限を取ることが可能になっているからだと説明、一方で日本はといえば「当時の交渉経緯の中で内外差別の留保を行わなかった」として「土地取得に関し内外差別的な立法はGATSとの関係において原則として認められない」。

こうしたことから鬼木議員は上川法相に対し「相互主義の観点から外国人による土地の取得・利用を制限することは出来ないのか」と迫ります。これに対し上川法相は現行法である外国人土地法に基づく政令の制定は困難だと認めた上で「特定の行政目的に基づいてその達成に必要な範囲で外国人の土地取得を制限することはあり得る」とはしながらも条約との関連においては「内国民待遇が規定されていることとの関係で、条約違反となる可能性もある」と述べ、「極めて、慎重な検討が必要」と答弁していました。

鬼木議員は最後に議論のポイントとして2つに集約、ひとつは条約の問題だとして日本にとってバランスを欠いた状況が本当に相互主義となっているのかが論点だとし、ふたつめの問題として憲法を挙げていました。

鬼木「非常に日本国憲法は主権が強いというのが特徴でございます。占領下で作られた憲法であり、また、一説には日本を弱い国にしようという意図があって作られた憲法。非常に主権が強い、個人の権利が強い、そしてその権利は外国人にも及ぶということで日本の国をですね、悪いことをする存在として国家を弱い国家を目指しているところがあるのではないかというところで。(中略)日本国民を守るための国家、日本国民による日本国民のための憲法に変わっていかなければならないというふうに私は考えております。」

鬼木議員は質疑後に更新したFacebookの中でこう語っています。

鬼木「憲法と条約、これらの法に縛られて、日本は外国人の土地所有を制限できないことがわかってきました。」

鬼木誠議員の発言全文
鬼木「自由民主党の鬼木誠でございます。本日は外国人の土地所有について質問を致します。私の母方は対馬の出身でございます。対馬藩宗主の馬廻り役を務めまして、元寇の際も対馬を守ったという一族でございます。その国境の島、対馬で外国人による土地所有が問題となっております。海上自衛隊対馬防衛隊本部の周辺土地が韓国資本によって買収されまして、現在リゾートホテルになっております。そこには、天皇陛下の行幸の碑もありまして、そこもリゾートホテルの一部となっていると。また、何が問題かと言いますと、この日本の防衛機関の周辺地区が買い取られたということで、防衛に関する通信傍受の恐れなどが指摘されているところでございます。

対馬は現在、大変疲弊しておりまして、経済的に韓国に依存しているという状況があります。経済が疲弊いたしますと人口が減っていく、そして土地も買ってもらおうと売りに出した時に、その売りに出た山を韓国資本が買うといったことも見られておりまして、合法的にですね、国土がまたその国境離島の市が外国人所有者によって取得されるということが進んでいるわけでございます。

また、北海道では、山林やキャンプ場が大規模に買われております。これはもう何年も前から言われていることでございます。買われる目的は何なのかということ、いろんな説がありまして、水源地、水を目的とした買収じゃないかということが古くから言われておりました。ところが、最近ではですね、その他の利用についても憶測がございまして、その買われる場所が広大な可住地・可耕地、人が住める、耕作が出来る、そうした土地を囲い込む傾向があるということで、ここにもしかしたらですね、将来的に大量の難民が押し寄せてくることになるのではないかということが心配されております。

日本の土地が合法的に外国人のものになっていく。また、国境離島や過疎地が実効的に所有されていく。日本はこれまでの歴史においても、実効的に領有されると、取り返すことが出来ないということで海外の国々は高をくくっているのではないかと。これは将来において様々な禍根を残すことになるのではないかと心配しております。

日本には外国人の土地の所有・取得・利用を制限する法律がないと言われておりますが、実際には法律自体はあると聞いております。外国人による日本の土地の取得・利用を制限する法律、外国人土地法というものがあると聞いておりますが、これはどういった法律であるのでしょうか。質問いたします」

法務省小野瀬民事局長「お答えいたします。外国人土地法は、大正14年に大日本帝国憲法下で成立した法律でございまして、現在も効力を有する法律でございます。この法律は一定の場合に政令を定めることによって、外国人や、外国法人による土地に関する権利の取得を制限することが出来ると規定しております。具体的には、第一に外国人等が属する外国において、日本人の土地に関する権利の共有を制限している時に、相互主義の観点から同様の制限をすること。第二に、国防上の観点から、必要な地区において、外国人等の土地に関する権利の取得につき禁止をし、または条件もしくは制限を付することが出来ると規定しております」

鬼木「はい、有難うございます。こういう法律が実際はあるということでございますが、大正14年に出来た旧憲法下、大日本帝国憲法下で出来た法律であると。現在も効力を有する法律ということではございますが、では制限の内容を定める政令というものはこれまで政令が制定されたことがあるのでしょうか。お答え下さい」

法務省小野瀬民事局長「お答えいたします。外国人土地法は、制限の対象となる権利や、制限の対応等において、政令に包括的、白紙的に委任しておりまして、この点で、憲法上の問題が生ずる可能性がございます。そのため、現行憲法下で外国人土地法に基づく政令が制定されたことはございません。なお、この法律の第4条、国防上の観点でございますが、ここに基づく勅令は戦前に一度制定されたことはございます。尤も、この勅令は昭和20年10月24日に廃止されております」

鬼木「現行憲法下では、政令が制定されたことはないということでございます。これは、政令に包括的・白紙的に委任するということは問題があるということ。また現行憲法下での運用ということでございます。ポイントはやっぱり現行憲法下では政令が制定できない、つまり外国人土地法が機能することが出来ないということが明らかであるということ。それともうひとつ、政令での制限というのが白紙委任だということでそれは憲法違反の恐れがあるということで出来ないということは具体的に法律で定めれば制限は可能なのではないか、つまり制限を加えるには新たな法律が必要であると明らかになったと思われます。

そこで、相互主義という言葉が出てまいりました。相互主義ということでありますが、日本は外国人に対して土地の所有を規制できない一方で、海外では外国人による土地の取得、利用が制限されている国が殆どだと聞いております。先日も自民党の委員会におきまして、青森大学の平野秀樹教授がお見えになりまして、そこで海外の土地所有、利用の規制について一覧表をお調べ頂いたものをですね、公表いただきました。そこでは多くの国々が外国人に対する土地の利用、取得というものを多くの国が制限できるという状況になっております。

つまり日本人が海外で土地を買おうとすれば、そこには他国では色んな制限がかかる。だけれども、日本では取得も利用も制限することが出来ないという状況にあります。どういう理由でこうした不均衡が生じているのか。そこには様々な条約上の理由があるというふうに聞いておりますが、外務省からお答え頂きたいと思います」

外務省飯田大臣官房審議官「お答えいたします。我が国は自由貿易の推進やですね、日本企業の海外展開支援の観点から、国際的な投資やサービスの自由化をこれまでも積極的に推進してきているところでございます。そういう目的から経済連携協定とかですね、二国間投資協定、更にはWTOにおいても各分野で内外差別、これを内国民待遇と呼んでおりますけれども、そのルールが広く及ぶよう、各産業を所管する全ての関係省庁と連携しつつ積極的に交渉してまいったところでございます。我が国がこれまで締結しました経済連携協定、投資協定、更にはサービスの提供に関する規律でございますが、WTOにサービス貿易に関する一般協定、俗にGATSと呼ばれてるものがありまして、これにおいてはですね、原則としては投資やサービスにおける内国民待遇義務が定められているところでございます。土地取得についてもですね、一部の経済連携協定や投資協定、更にはGATSにおいてもですね、交渉の結果と致しまして我が国はこれを例外とすること無く内国民待遇の義務を負っているところでございます。従いまして土地取得に関し、これらの協定との関係におきまして、内外差別的な立法を行うことや、相互主義的な措置を取ることは原則として認められないということになっております。また一方で外国人のみを対象にした措置でない場合、つまり内外無差別である場合には、合理的目的および手段で土地の取得を規制することまでもですね、これらの国際約束が禁止するものではなく、そのような国内立法は国際約束上も制約されないと理解しているところでございます」

鬼木「WTOのサービス貿易に関する一般協定、GATSにおいて内国民待遇義務が定められているということで、日本人に対する土地の権利の待遇と、外国人に対する権利の待遇が格差があってはいけないというルールを日本は守っているということでございます。しかし内外無差別である場合には、合理的な目的及び手段で土地取得等の制限を規制することまでも禁じているものではないという答弁でしたので、内外無差別の立法ならば取得・利用についての制限が可能という答弁だったと思います。しかしやっぱりですね釈然としないわけですね。日本人は海外の土地を自由に取得することも利用することも出来ない現状がある。そして、外国人は日本の土地を取得も利用も本当に自由に出来ると。同じGATSに加入している国々でも、制限が出来ているという状況もあります。

例えばインドですね。外国人、外国法人の土地所有は原則不可。一定の条件下で外国企業の現地法人による土地取得は可能と。また、フィリピン。フィリピンにおきましても外国人、外国法人の土地所有は原則不可。外国人投資家が土地を期限付きでリースすることは可能というふうにこうした制限が現に加えられているわけですね。インド、フィリピン、タイなどもGATSに加盟しておりますが、外国人の土地所有は原則不可となっております。何故、彼らに出来ることが日本で出来ない状況にあるのか。外務省お答えできますでしょうか」

外務省飯田大臣官房審議官「お答えいたします。先程GATSについてご説明しましたけれども、ご指摘のとおりですね、GATS加盟国の中にもですね、外国人の土地取得につき一定の規制を行う国があるということは事実でございます。先程わたしあの、内国民待遇の時に原則として申し上げましたけれども、これらの国々はですね、GATSの約束においてサービス提供に関わる土地の取得に関し留保を行っているという認識でございます。従いましてこれらの国はその留保の範囲内で必要な制限を取ることが可能になっているということでございます。我が国の方はですね先程申し上げたように自由化を推進する立場を基本としつつですねこれまで交渉に臨んで来まして、個別の国の事情や交渉参加国の利害のバランスを十分に踏まえた上でですね、それぞれの協定について交渉を行っているところでございますが、協定の内容はその交渉の結果によってそれぞれ決まって異なってくるものでございますけれども、GATSにおいては当時の交渉経緯の中でですね、内外差別の留保を行わなかったということは事実でございます。従いまして土地取得に関し内外差別的な立法を行うことは、GATSとの関係においても原則として認められないということと理解しております」

鬼木「今、いろいろお答えありましたがどうしても不平等感が否めないわけでございます。先程述べた国々は外国人の土地所有を禁ずるという形で内外の格差があるということでありますが、アメリカで言いますとですね、土地所有権は原則として政府による優越領有権と、強力な政府権限のもとに位置づけられると。4割の州で州法による規制があると。またイギリスは原則として土地の最終処分権は政府または王室に帰属している。土地所有者は保有権を持つのみであると。またドイツにおきましてはワイマール憲法において土地所有の原則不自由を規定しているということで、先程述べたアメリカドイツイギリスは、これは内外の差、区分無く国家が強い土地に対する権限を持っているということなんですね。ですから、海外の人たちが利用したとした時にも、内外差別なく強い権限で国が制限を加えることが出来るということになっている。逆に言うと日本人が取得した時にも、その制限が及ぶということになっている。従って日本国民がですね、海外で土地取得利用する場合には殆どの国で制限を受けているという状況があるわけでございます。それでは、日本でも相互主義の観点から外国人による土地の取得、利用を制限することが出来ないのか。大臣にお答え願いたいと思います」

上川法相「まずは先程、日本の中に外国人土地に関しての法律ということでご質問がありましたけれども、お答えを先程したとおりでございまして、外国人土地法の第1条に基づく政令を制定するということについては困難であるというふうに考えているところでございます。法律によって制限が出来るかどうかということでありますけれども、あくまで一般論ということで申し上げるところでありますが、法律によって外国人の権利を制限しようとする場合におきましては、権利の制限目的が正当であるか、また制限手段が必要かつ合理的と言えるか否か、の観点からその可否が検討されることになるというふうに考えられます。特定の行政目的に基づいてその達成に必要な範囲で外国人の土地取得を制限するということはあり得るわけでありますが、その目的と対応に応じて、それぞれの所管行政事務を担っている各省庁において検討されるべき問題であると。もちろん検討の際には法務省、民事基本法制を所管している立場でございますので、各省庁、所管省庁との協議におきましては誠実に対応するということになろうかと思います。なお、外国人のみを対象としての様々な土地使用の制限ということでございますけれども、それにつきましては只今外務省の方からの答弁にあった通り、我が国が締結している諸条約におきまして、内国民待遇が規定されていることとの関係で、条約違反となる可能性もあるということでございますので、極めて、慎重な検討が必要であるというふうに考えております」

鬼木「大臣ご答弁有難うございました。難しい質問だったと思います。非常に慎重に言葉を選んで答弁頂いたと思いますが、やっぱり色んな大きな問題を孕んでおります。国境離島がどんどん、外国資本によって外国の方の領有になっていくということ。また、北海道の広大な土地が可住地・可耕地が大きく買い占められて、この後どういう利用がされるかわからないという状況。それに何も対応できないというのは、様々大きな禍根を残しうる大問題だと考えております。今までの議論の中でポイントがふたつあると思っております。

ひとつは条約上の問題であります。本当に日本にとってフェアなルールになっているのか。相互主義と言いながら日本では制限が出来ない。他国の海外は制限出来る。このバランスを欠いている状況というものが本当に相互主義となっているのかという条約上の問題。

そして、もうひとつは憲法上の問題というのが私はあると思っております。非常に日本国憲法は主権が強いというのが特徴でございます。占領下で作られた憲法であり、また、一説には日本を弱い国にしようという意図があって作られた憲法。非常に主権が強い、個人の権利が強い、そしてその権利は外国人にも及ぶということで日本の国をですね、悪いことをする存在として国家を弱い国家を目指しているところがあるのではないかというところで。今後、国を守るという憲法になっていないのではないかというふうに思います。人道上の問題もあり、生活保護がですね、外国の方々にも支給されているという状況がある中で、今後は難民の受け入れというのが日本においても大きな問題になってくると思います。ヨーロッパの難民問題はヨーロッパ各地で大きな問題を残しております。後から騒いでも遅い、ということであります。未然に議論をし、対策をする必要があります。また、憲法も誰のための憲法なのか。国家が悪者というようなですね、ものではいけなくて、日本国民を守るための国家、日本国民による日本国民のための憲法に変わっていかなければならないというふうに私は考えております。そうした様々な問題を提起いたしまして、この外国人の土地所有の問題。しっかりと国の取り組みを期待致しまして、私からの質問を終わらせて頂きます。以上です。ありがとうございました」